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KIKU- column02
2026年3月17日 update
text/選盤 by 中村沙織
新しい言葉自分の内側にあることを、言葉で人に伝えることが昔から得意ではない。
何か大事な事ことを話そうとするほど、なぜか体や声が震えたり喉の奥がキュッとなって言葉が出てこない。かといって、自分の内面を開示することに抵抗を覚えているわけではない。
むしろその逆で、本当は伝えたい。
うまく伝えられないことに、昔から息苦しさを覚え続けていた。
周りから「何を考えているのかわからない」と言われることも少なくなかった気がする。そんな中で、バンドを始めた。
活動の中、自分で詩を書き歌うようになった。描いた言葉が歌となって口から出る瞬間、それはいつもの「言葉」とは違う働きをした。
音や呼吸に混ざりながら、自分の内側にあるものが外へ流れ出ていくような感覚だった。そうして少しずつ、歌は自分にとって自分自身を表現するためのひとつの手段になっていった。
歌詞としての「言葉」は、その時の自分の感情や思考によって変化していき
常に新しい形をもって外へ出ていく。
その時の自分の状態によって、言葉の輪郭や温度は静かに変わっていく。
そして時には言葉にならない叫びのようなものが、自分にとっては言葉よりも意味をもつこともある。声だけではなく、ベースの音や、私がステージの上で表現するすべてのことが音楽であり
音楽は自分が手に入れた「新しい言葉」なのだと思う。
—————————————————————-オーストラリアツアーで見つけた1枚
Retree /Through the Smoke
書き手: 中村沙織
南アルプスに囲まれた城下町松本にてサイケ・インディーポップデュオtangingugunのボーカリスト・ベーシストであり、marking records内でベーグルやミートパイのお店を構えるnuzzle店主。Give me little more.を拠点に国内外で活動するtangingugunはアルバム制作中とのこと。(編集者)
https://www.instagram.com/tangingugun/
https://www.instagram.com/nuzzle.bagel==========
小さな企画、コラムシリーズ[KIKU]はTWIN SHIPSの課外活動です
ゲストライターをお迎えして音楽にまつわるお話を不定期で掲載しています
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